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平安末期の武将で、源氏に仕えた熊谷次郎直実は、

一の谷の合戦の折、沖に向かい行く一騎の武者を見つける。

 

扇を掲げ、「返せ返せ」と招くと、武者は取って返し、立ち向かってきた。

馬上より落ち、組み伏せて顔を見ると、その武者は、

まるで女と見まがうほどの美青年であった。

 

直実は、わが子と歳が近いことから、どうにか助けんと思案するが、

見方の軍勢が近づいている。 

 

やむなく首を討ち取り、その首を包むため、装束を解いた際、

腰に付けた錦の袋から一管の笛が出てくる。

 

実はその日の明け方聞いた笛の音が、この若者のものだったのかと、

直実は非情の世に散った若武者を哀れむ。

 

後、この笛の主は平敦盛(たいらのあつもり)だったと知るのだが、

直実はこの事をきっかけに、やがて出家し、蓮生坊と名乗った。

山車では、敦盛を扇で招く次郎直実を飾る。

 

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「枯れ木に花を咲かせましょう」で有名な、おとぎ話の場面である。

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