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歌舞伎「春興鏡獅子」より。 江戸城大奥の大鏡曳きにおいて、 腰元・弥生が舞を舞う羽目になってしまう。
最初は、恥らう弥生だったが、次第に踊りにのめりこんでゆく。 そして祭壇の獅子頭を持ったとき、その獅子頭が勝手に動き出した。 この獅子頭は、獅子の精を司るものだったのである。 獅子の精に憑依された弥生は、獅子そのものの姿になり踊り狂う。
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猩々(しょうじょう)―。 元は中国の伝説の生き物で、人の言葉を理解し酒を飲み、 赤ら顔・赤毛の生物とされており、今日ではおおよそ 猿に似た生物と語られることが多い。
この猩々をモデルにした、能楽(歌舞伎舞踊)から。
親孝行の酒売りが、「酒を売れば多くの富を得るだろう」という、 神妙な夢を見て、お告げに従い市場で酒を売り始める。
そこへ、夜な夜な来てはいくら飲んでも酔わないという客が現れる。 酒売りが、不思議に思い正体を尋ねると、 自分は海からやってきた猩々であると答えて立ち去る。
酒売りは、月夜の美しい晩に、川辺で酒を用意して待っていると、 水中から猩々が現れる。
猩々は酒売りから酒をつがれ上機嫌で踊った後、酒売りの徳を讃え、 「汲めども尽きぬ酒壺」を酒売りのもとに残して海中へ戻ってゆくのであった。
この見返しでは、汲めども尽きぬ酒壺から酒を汲む猩々の姿を飾る。 |