歌舞伎「義経千本桜 二段目 渡海屋(とかいや)/
大物浦(だいもつのうら)」から。
源平の合戦の後日談。源九郎義経は、兄・源頼朝に
謀反の疑いをかけられ九州に落ち延びようと
船宿「渡海屋」にて船が出るまで逗留する。
この「渡海屋」の主人・銀平こそ、
壇ノ浦で死なずに生き残った中納言・平知盛で、
看板娘のお安は、生きていた安徳帝である。
「渡海屋」のクライマックスで正体を表す知盛と安徳帝。
続く「大物浦」では、安徳帝の身を守ろうとする義経、
そして帝のいのちを守るのは当然とし、その上で、
源平の雌雄を決するべく戦いを挑む知盛、その間で
それぞれを守ろうとする安徳帝や典侍の局の想いが交錯し、
最後に知盛は、義経に度重なる戦で負けたことや、
没落した平家の姿を地獄の道になぞらえ、
父・平清盛の悪行によって呪われた一門の運命を、
ここで脱する(解脱)と、碇を担ぎ、
帝を義経に託し海に消えていく。。。。という物語。
歌舞伎の舞台では、血みどろの戦いで
グロテスクな演出がなされる知盛だが、山車という
ハレの舞台に「血」というケを表現するものでないため、
山車では、純白の姿の知盛と、対峙する武蔵坊弁慶の見得を飾る。