時は鎌倉の初め。 初音の鼓を手にする源義経の忠臣・佐藤忠信。
しかし、その顔の隈取は獣のまゆに火焔隈。 実は、忠信の姿を借りた狐である。
親狐の皮で作った初音の鼓を授けられた源義経に恩を返すため、 佐藤忠信に化けて付き従っているのである。
その忠義を知り、感銘した義経は、この狐に自分の姓名である 源九郎を与え、この狐が静御前の供をしていく場面へと続いていく。
義経千本桜でも、一際華やかな「鳥居前」より、源九郎狐を再現している。
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兄である源頼朝に追われ、奥州へ落ちる源義経を慕い、 吉野山まで供をした静御前だったが、 義経を無事に逃がすため、自ら頼朝の追っ手に捕まる。
その後、頼朝の前で、舞を強要され、 静御前は義経を想う心の内を 「しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな」 「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき」 との唄と白拍子の舞で表現し、頼朝を激怒させるが、 頼朝の妻・北条政子が、 「私が御前の立場であっても、あの様に謡うでしょう」 と取り成して命を助けた。
本年の山車では、鶴岡八幡宮の頼朝の御前にて舞を踊る 静御前の姿を飾る。
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