盛岡山車の魅力の一つに、山車音頭と言うのがあります。
これは、寄付をもらったお店などに対し、お礼の意を込め、山車の演題解説などを
取り入れた七・七・七・五の句を「南部木遣」という独特の調子に乗せて謳い上げるというものです。
盛岡山車音頭の始まりについては諸説あり、
京都の祇園ばやしや江戸の木遣音頭を取り入れ、
盛岡独自で作り上げられたとの有力説と、
「獅子音頭」から来たものではないかと言う説があります。
このページでは、この「獅子音頭」説について言及したいと思います。
獅子音頭とは、神輿に従う権現様(獅子頭)を称える歌で、
前唄、本唄、送りの三部から構成されますが、
このうち本唄の「大木遣」を真似て節を崩したのが、
上方調の「南部木遣」で、「江戸木遣」とは異なると言います。
今なお、盛岡市長田町の第八分団・三番組に伝わる「獅子頭」は
藩公から当時のお抱え火消に下されたものと伝えられておりますが、
そのとき獅子音頭を上げたのが、南部木遣の始まりといわれており、
前述した「獅子音頭」説を裏付ける一つの証拠ではないかと考えられます。
※盛岡山車の音頭の唄い方は大きく分けて以下の三通りに分けられます。
緑字:音頭の歌い手のパート
黄字:合いの手として入るパート
1、長田町・三番組の音頭の流れ
ィソーレーェイーワーァァソーォ
→ (掛け声 ヤーレコリャノセー)
→ ィソーレィーワーァァェ
→ 本唄 上の句
→ (掛け声)
→ 本唄 下の句
→ (ヨーイヨーイヨイサーヨイサーヨーイサーエー)
2、一般的な音頭の流れ
イヤーエーヨワーァァエー
→ (掛け声 ヤーレコリャノセー)
→ ィヤーレヨワーァァエ
→ 本唄 上の句
→ (掛け声)
→ 本唄 下の句
→ (ヨーイヨーイヨイサーヨイサーヨーイサーエー)
3、紺屋町・よ組の音頭
イヤーオーイワーァァエー
→ (掛け声 ヤーレコリャノセー)
→ ィヤーレヨワーァァエ
→ 本唄 上の句
→ (掛け声)
→ 本唄 下の句
→ (ヨーイヨーイヨイサーヤンサーヤーンサーエーヨーォイワエー)
・歌舞伎名代の 矢の根の五郎 邪気を払いて 睨む曾我
・五郎時致 鏑を手にし 富士を背中に 見得を切る
・縁起担ぎし 五郎の夢が 捕わる兄者の 危機知らせ
(平成19年度 盛岡観光コンベンション協会 風流 歌舞伎十八番の内 矢の根)
・腰に尺八 見得切る姿 杏葉牡丹の 五つ紋
・助六由縁は 桜に匂う 成田屋十八番の 家の芸
・源氏の名刀 友切丸の 行方捜して 廓前
・紫の鉢巻 夜風に揺れて 吉原通いの 伊達姿
・廓通いも 仇討つためと 傘に隠した 男意気
(平成18年度 盛岡観光コンベンション協会 風流 歌舞伎十八番の内 助六)
これからも随時、音頭を増やすつもりですので、ご期待ください。