平成17年度盛岡山車

盛岡市八幡町い組 風流 暫

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演題解説

鶴岡八幡宮にて、悪人・清原武衡に言いがかりをつけられた加茂次郎義綱らが

襲われそうになったとき、歌舞伎界のヒーロー、鎌倉権五郎景政が「しばぁらく、しばぁらく」

の声とともに花道より登場する、歌舞伎の世界で最もポピュラーな演題といえる作品。

この山車では、市川家由縁の三升紋の鍔の付いた大太刀を構える鎌倉権五郎景政の

姿を飾っている。

見返し お小姓弥生

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演題解説

歌舞伎「春興鏡獅子」より。江戸城大奥の大鏡曳きにおいて、

腰元・弥生が舞を舞う羽目になってしまう。最初は、恥らう弥生だったが、

次第に踊りにのめりこんでゆく。そして祭壇の獅子頭を持ったとき、その

獅子頭が勝手に動き出した。この獅子頭は、獅子の精を司るものだったのである。

獅子の精に憑依された弥生は、獅子そのものの姿になり踊り狂う。

この山車では、憑依される前、獅子頭を持って舞う弥生の場面を飾る。

盛岡市本宮な組 風流 義経疾走

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演題解説

平治元年(1159)、河内源氏の将・源義朝の九男として生を受けた源義経は、

幼名を牛若(やがて遮那王とも呼ばれる)といい、鞍馬山で修行を受けた後、

奥州平泉にて藤原秀衡の庇護の下で成長。元服し、名を九郎義経と改める。

同じ頃、兄・源頼朝が、平氏追討の兵を挙げると、その軍に合流し、

やがて源氏の総大将として、「逆落とし」の奇襲で、一ノ谷を一挙に攻落し、

続く屋島の戦いでも海戦で勝利し、壇ノ浦の合戦において、源平の合戦に終止符を打った。

しかし、度重なる勲功は、同時に兄・頼朝の嫉妬心を煽り、やがて頼朝は義経に対して

謀反の疑いをかけ、義経追討の軍を挙げるのであった。

 

 

源氏の総大将として平家との合戦に疾走する義経。

実直に、そして大胆なその戦法は義経自身の生涯そのものであった。

この山車では、義経の躍動感あふれる姿を飾っている。

 

 

見返し 大宮神楽 弁慶の場

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演題解説

盛岡市本宮に鎮座する大宮神社は、約1200年の歴史を誇る古社である。

この歴史とともに、伝承される大宮神楽。中でも、この山車では、弁慶の場面を飾る。

盛岡市中の橋通 の組 風流 四つ車大八

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演題解説

歌舞伎「神明恵和合取組 め組の喧嘩」より。ほんの些細な出来事から、

江戸火消しと、大相撲の力士の喧嘩が勃発。

関取・四つ車大八も、その怪力を存分に発揮し、江戸の火消しとの大立回り

を演じる。なお、この事件、文化2年(1835年)実際にあった出来事だといわれる。

見返し 藤娘

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演題解説

歌舞伎「歌へすがへす余波大津絵」より。藤の花の精が、娘の姿で現れ、

夕暮れの鐘の音とともに消えていく。

藤の枝を片手に、黒塗りのかさを被って優雅に踊る。

日本舞踊としても有名な本題は、昔から人気が高かったといわれている。

盛岡市三ツ割 み組 風流 毛剃九右衛門

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演題解説

近松門左衛門作の歌舞伎「博多小女郎浪枕 毛剃」から。海賊の首領、毛剃九右衛門が

名前の通り、主役である。舞台いっぱいに大きな船を出し、その船首で

見得を切る序幕の趣向が喜ばれる。

見返し 八重垣姫

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演題解説

歌舞伎「十種香」より。本題は、戦国時代の上杉、武田家の対立が舞台である。

上杉謙信の息女である八重垣姫は、武田勝頼の許婚。しかし武田勝頼が切腹

(しかしこれは身代わりで、箕作というのが本当の勝頼)したため、様々な問題が

両家の間に起こる。やがて、ある日上杉謙信の指示で、箕作=勝頼は使者に立たされるが、

討手を差し向ける。絵姿の勝頼に似ている箕作に恋した八重垣姫は、それを知って何とか危急

を知らせたいと気をもむうち、武田家の家宝・諏訪法性の兜を手に、勝頼の後を追う。

盛岡市城西組  風流 歌舞伎十八番の内 矢の根

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演題解説

曽我五郎時致は、父の仇である工藤祐経を討とうと計っていた。

正月、身の丈ほどもある矢尻を研いでいると、大薩摩主膳太夫が年始の挨拶に来る。そして、

お年玉にと、宝船の絵を置いて帰る。五郎は、砥石を枕にし、その下に宝船の絵を敷いて寝る。

すると、夢に出てきたのは兄の十郎祐成。工藤祐経の館に捕らえられているのだ。

五郎はびっくりして飛び起きると、大太刀を取り、身支度をする。

ちょうどそのとき、馬子の畑右衛門が馬に大根を積んで通り掛かる。これ幸いと、

五郎はその馬をひったくり、積んであった大根を一本取るとそれを鞭に工藤の館へと

飛んでゆく。

例年、「矢の根」と言えば、大矢尻を研ぐ五郎時致の姿か、大矢尻を背に見得を切る趣向の

山車が主流であるが、この年、城西組は馬に跨り工藤の館へと向かう五郎時致を初めて山車に飾った。

見返し 京鹿子娘道成寺

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演題解説

紀州道成寺に伝わる安珍・清姫の伝説を歌舞伎に舞踊化。

舞台は桜が満開の道成寺。再興した鐘の供養が始まろうとしている。

そこに清姫の亡霊が白拍子となって現れ、舞を見せているうちに

鐘に飛び込み蛇体となって現れるが、押戻しによって屈服させられる。

この見返しは、花笠踊りの場面を再現したものである。

盛岡市神子田 盛山會さ組 風流 歌舞伎十八番の内 解脱より 釣鐘景清

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演題解説

平家の荒武者として有名な藤原景清は、清水観音に幾度となく守られてきたが、

断食して死んだといわれる。

さて、ある釣鐘供養の場に、景清の怨霊が現れる。源氏の驕りを戒め、平家の供養を

訴えるのだ。そして、本願が成就したとき、それまで鳴らなかった釣鐘が鳴り出したという。

この山車では、釣鐘の上で大見得を切る景清を、「暫」の三升紋のアレンジをしながら、

飾っている。

考えてみれば、「歌舞伎十八番」は俗に成田屋と呼ばれる市川家のお家芸であり、

このアレンジは「市川家」の三升紋であるため、総じて解すれば、「解脱」も市川家のお家芸

だから歌舞伎の場面として合致しているだろうとmasa自身は思う。

見返し 琉球娘

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演題解説 

平成17年は、戦後60年の節目である。命の尊さ、そして平和の貴さを再確認、

再発信しなければならない年でもある。

唯一、本土決戦のあった沖縄は悲劇の場だった。

ひめゆり部隊の壮絶な最期はその最たるものである。

この山車では、その鎮魂の意味合いもこめて、琉球人形を飾った。

盛岡市長田町三番組 風流  五条大橋

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演題解説

源氏の大将、源義朝の九男として密かに鞍馬山で育てられた牛若丸は、やがて京にて妙な噂を

耳にする。それは、毎夜毎夜、五条の橋の上で武将から刀を盗る大男が出るというものだった。

ある晩、牛若丸は五条の橋の上でこの大男に出会い、それはやがて生涯をかけた主従関係となった。

この山車では、牛若丸を上下に動かすギミックがあり、パレードの際は、非常に躍動感あふれる動きを見せた。

見返し  静御前

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演題解説

義経を慕い、義経の幾度の困難を支えた静御前。奥州落ちの際、密かに堀川御所を

脱出した義経を追い、忠臣・佐藤忠信と共に吉野山へ向かう。

盛岡観光コンベンション協会 風流 歌舞伎十八番の内 鳴神

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演題解説

原題は「雷神不動北山桜」。鳴神上人は、寺院建立を約束に皇子誕生の祈祷を行い、

これを成功させる。しかし、時の天皇が約束を破ったために呪術を用いて、雨降らしの

竜神を滝つぼに封印させてしまう。これにより、国中が干ばつに襲われ、民百姓が困ると、

天皇は女色で上人の呪術を破ろうと、内裏一の美人・雲の絶間姫を上人の元に送り込む。

雲の絶間姫の、手練主管に上人は思わずその身体に触れ、ついに戒律を犯すばかりか、

酒に酔いつぶれ、眠ってしまう。姫により、滝つぼより放たれた竜神により、大雨が降る。

だまされたと悟った上人は烈火のごとく怒り出し、髪は逆立ち衣装は炎の模様になり、

雷神「鳴神」になり、姫を追う。

山車では、密教の道具・五鈷をくわえ、見得を切る鳴神の姿を再現したものである。

見返し 雲の絶間姫

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演題解説

鳴神上人を酔いつぶし、竜神を解き放つ雲の絶間姫の姿を再現したものである。

 

 

 

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